ソラシス は、現在準備中です。

2021/03/15 14:12

※この記事は店長のnoteより転載しております。

以前、お客様から「パンやお菓子作りに使える、ダイス型のドライフルーツミックスが欲しい」とご要望をいただいた。

それを踏まえ、ガーナのドライフルーツ生産社さんへこう尋ねた。

「規格外のドライフルーツがあれば、それを細かくして製菓用に販売したい。細かくして納品はできるか?」

答えは、NOだった。

「規格外ドライフルーツはあるが、色が結構変色している。

それに、細かくする場合、ドライフルーツに加工後真空パックしたものを、また封を開け手作業で切らないとならない。

切る機械がないから、手作業で切らなければならないから、きれいなダイス型にはならないし、追加コストもかかるよ。」

これはつまり、NOを意味している。

私は、細かく切ってもらうのは諦めた。

でも、規格外ドライフルーツがどれぐらいあるのかは確認したかった。すると、想定以上のドライマンゴーが廃棄予定であることが発覚。

廃棄の理由が、その色だ。

オーガニック製法の場合、二酸化硫黄のような変色を防ぐ添加物や、濃くなった色を明るくする漂白剤、綺麗に色付けする着色料を使わない。
そのため、よく熟れたマンゴーやパイナップルは中身が茶色っぽく変色してしまうのだ。

熟れてるなら、通常品より甘いはずだ。
なのに、この色を理由に廃棄されてしまう。
非常に勿体ない。

以前、農家の友人が規格外品についてこう言っていた。

「規格外品は、形や色が通常より違うために、通常品に混ざっているとクレームになってしまう。モノとしては規格品と全く同じで、味も美味しい。ただ、見た目の問題で取り除き、廃棄しなければならない。規格外品だけを集めて商品にすることもできるが、その仕分けコストや時間、手間もかかる。廃棄する場合も、コストがかかる。消費者がもっと規格外品に寛容になれば、こうした農作物は棄てられずに済む」

これはちょうど、先日私が読んだ本『賞味期限のウソ』にも書かれていた。

この本では、今社会問題になっている食品ロス、フードロス問題を取り上げていて、その原因の1つとして、「規格外品の廃棄」が挙げられている。

今、食べチョクなどが、国内のこうした規格外品の農作物と消費者を繋げるサービスを行っているが、輸出を前提につくられる途上国産の農作物は、これが難しい。

輸出先の先進国の高い基準を満たすために、高いコストを払って有機栽培等、農薬を使わず手間暇かけてつくっているものが多い。つまり、生産国内で売るにはどうしても売値を高くせざるを得ない。しかし、野菜やフルーツが安くマーケットで売られている国では、わざわざ高級品を買うのは一部の富裕層に限定されてしまい、売れない。だから、海外へ輸出せざるを得ない。

しかし、変色した規格外品の場合、海外の売り先が買わないとなると、国内市場でも売れないので、選択肢は廃棄しかない。

自社のショップがあればそこで売れるが、よほど大きなショップでない限り、その量にも限界がある。メーカーの顧客であるショップや法人には、更に卸先のショップがあるので、見た目が悪いものを買い取ろうとはしない。

これ、非常にもったいなくないですか?

この本には、フィリピンの輸出用オクラの例が書かれているが、フィリピンでは規格外というだけで、生産者1社につき、年間100-200トンのオクラが廃棄されてるらしい。

本当、もったいなさすぎる。オクラ100-200トンあれば、飢えで亡くなる子供も減るはずだ。(もちろん、オクラだけじゃダメだけど。)

もちろん、私のお店で扱っているガーナ産ドライフルーツも例外ではない。フルーツなので、熟れて変色したものというのも当然ある。そして、それが上記の理由で廃棄されている。

先日、その事実を知り、心が痛くなった。だって、変色してたって味は通常のものと同じ、もしくはそれより熟れてるので甘い。それが、棄てられてしまうなんて・・・。

ガーナでの廃棄コストというのも当然かかるし、家族経営する小さな農家さんがつくったものを廃棄、と考えたら、いてもたってもいられなくなった。

ソラシスの掲げている理念の中に「ビジネスで社会課題を解決する」というのがある。このまま「大変ですね」と廃棄を見逃すことなんて、私はできない。

だから、この廃棄予定だった規格外品のドライフルーツを、通常よりも安いコストで全量買い取らせてもらい、当店のドライフルーツが好きな方々へ、お得な値段で販売しようと、決めた。

こうして食べ物が廃棄されていくのは、私たち消費者が「見た目がよくて、安くて、お腹いっぱい食べられる食事」を選び続けているからだ。
もっと消費者が、見た目より味そのもの、素材の質を重視していれば、廃棄は格段に減るのではないか。見た目を理由にした店へのクレームもなくなるのではないか。クレームがなくなれば、店も生産者から規格外品を買うようになるのではないか。そしたら、結果としてフードロスは減るのではないか。

私は、規格外品を販売しようと思ったのは、味重視で買ってくれる素晴らしいお客様に恵まれているという点は勿論だが、「フードロス」という社会問題をお客様と一緒に考えたいと思ったから、というのも理由に挙げられる。

ドライフルーツを通し見えるものは、ガーナ農家の貧困だけではなく、こうしたフードロスという、私たちにも密接に関係する社会課題。私はこうした社会課題を考えるきっかけを、製品を通してお客様へ提供したいと思うし、一緒に考えて、自分が生きてるうちにやれることに取り組んでいきたい。

そういう想いで、この廃棄分を日本へお届けしたい。

私は、これを誰でも買えるように販売する予定はなく、今ご利用くださっているお客様へまず先行販売しようと思う。

いつもフェアトレードで決して安くない当店のドライフルーツをご購入くださり、ガーナを応援くださる沢山のお客様がいる。この規格外品というのは、味そのものを重視くださるそうしたお客様へ、恩返しをできるチャンスだと私は思っている。規格外品は毎回あるわけではないし、量も限られるので。

対象はマンゴーとパイナップルなので、輸入完了したら、お客様へはTwitter、メールで案内する予定だ。1度でも当店をご利用くださった方が全員対象なので、もしご興味ある方は、1度ご利用いただくといいかもしれない。

これをお読みの中に当店のお客様がいたら、楽しみにしていてくださいね😊✨